直動シリンダユニットを使うか、ボールネジとモーターを使うか

搬送装置や移動式テーブル、昇降機を設計するときに市販の直動シリンダを使うかボールネジとモーターを組み合わせて設計するか悩んだことはないでしょうか。

今回はそれぞれを使用した時のメリット、デメリットについて記事にしました。

結論から言うと直動シリンダを使った時のメリットは以下のようなことがあります。

  • 設計の手間が大幅に省ける
  • メーカーで試験などを実施し品質保証済み
  • メーカーに相談できる

またボールネジとモータを使った時のメリットは以下のようなことがあります。

  • 安く作れる
  • カスタムができる
  • 省スペースにできる

では詳しく見ていきましょう!

ちなみに本記事内では直動シリンダは電動シリンダでもエアシリンダでも同じ扱いです。ボールネジもラックアンドピニオンもベルト機構も同じ扱いになります。

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目次

直動シリンダを使用する場合

まずは電動シリンダを使用して設計する場合から見てみます。

電動シリンダやエアシリンダの直動ユニットは駆動装置などでよく使われます。すぐに使えるのでとても便利ですよね。僕もよく使用させてもらいます。

直動シリンダのメリット

電動シリンダのメリットは以下になります

  • 設計の手間が大幅に省ける
  • メーカーで試験などを実施し品質保証済み
  • メーカーに相談できる

メーカーが販売している市販の直動シリンダを使うことで設計の手間を省くことができ、信頼性の高い装置を作ることができます。寿命を考慮した駆動機構の設計は難易度が高いので品質が担保されているメーカー品は重宝します。

検討箇所としては耐荷重や支持方法や連結部分の接続方法ぐらいになります。

困ったらメーカーに相談すると快くアドバイスがもらえます。こちらの仕様を伝えると荷重計算をして選定してくれたり、最適な構造を提案してくれるようなこともあります。

組み立て作業もほとんどいらないので時間がないときはかなり助かります。

直動シリンダのデメリット

便利な直動シリンダですが、こんなデメリットもあります。

  • ラインナップにあるものしか使えない
  • 値段が高い
  • 設計力が伸びにくい

当然ながら直動シリンダはメーカーの作成した商品のラインナップにあるものを使用しなくてはなりません。シリンダのサイズに合わせて機構部を設計したり、使いたい仕様の物がラインナップに無いので構想通りの設計ができないなんて場合もあります。ちなみに値段は上がりますが、一部カスタムで対応してくれるメーカーもあります。

値段が高くなりがちなのもデメリットの一つです。ただしエアシリンダは電動シリンダに比べて安価なので位置決め精度が必要ない場所なんかでは重宝します。

メーカー品の直動シリンダはとても便利でメーカーにも相談しやすい分、自分の技術力が伸びにくいというのもデメリットだと思います。良くも悪くもメーカーに仕様を伝えたり、相談したりして言われたとおりすればある程度形になりますからね。

ボールネジとモーターを使う場合

代表的な部品としてボールネジとモーターの組み合わせになっていますが、ラックピニオン、プーリーなども同じです。

僕の勝手な意見ですが、モーター選定などからできるとメカトロ設計って感じがしますよね笑

ボールネジとモーターを使うメリット

ボールネジなどの機械要素部品から選定して設計する場合こんなメリットがあります。

  • 安く作れる
  • カスタムができる
  • 省スペースにできる
  • 設計力がつく

市販のシリンダなどの直動ユニットを採用する場合に比べて安く済みます。ただし、こちらの設計工数を考慮する必要はあります。

また、専用設計ができるので設計の自由度がかなり高くなります。ボールネジなどを使用するとスペース的にも空いたところや隙間を利用して部品を配置すれば装置全体としてコンパクトにできます。

ボールネジを使用するような場合だと、モーター、ボールネジ、カップリング、ボールネジのサポートユニット、リニアガイドなど多数の機械要素部品の選定をする必要があるのでどうしても手間がかかります。

もちろんどれでもいいというわけではないので仕様に合わせて選定するのは慣れないうちは苦労します。また自由度が高い分、組み合わせもたくさんあるので正解は無数にあります。その中で自分なりの考えを持って設計していかなければならないので嫌でも設計力は上がります。

例えばサーボモーターが長納期化しているような時はサーボモーターを使用している電動シリンダも長納期化しているようなことが多々あります。しかし、そんな時でもステッピングモーターならあるというような場合もあります。するとボールネジとステッピングモーターを使用して搬送機構を設計することができるのです。

各メーカーのサイトに部品の選定方法や技術情報が出ているので参考にしながら設計してみることをお勧めします。

ボールネジとモーターを使うデメリット

  • 部品選定に手間がかかる
  • 固定部品などの設計が必要
  • 不具合が起こる可能性がある

一番のデメリットはメリットの部分でも上げましたが、部品の選定に時間がかかることです。また、部品が多いので全体のレイアウトを考えたりネジ止めや固定部品などを設計する必要があります。

納期の都合などで自作した機構を十分に検証できないような場合もあるので、メーカーが鬼のように品質検証をした上で販売しているユニットに比べるとどうしても不具合の起こる可能性は高くなります。設計段階で抑え込めれば最善ですが、動かしてみたり、時間が経ってから現れる不具合も多々あります。

ただそのあたりは考え方次第です。部署でしっかりとノウハウをため込んでノウハウ集やチェックリストなどを作成して対策することで、技術力の向上につなげることもできるはずです。

まとめ

直動ユニットを使用して設計するメリット

  • 設計の手間が大幅に省ける
  • メーカーで試験などを実施し品質保証済み
  • メーカーに相談できる

ボールネジとモーターを選定し設計するメリット

  • 安く作れる
  • カスタムができる
  • 省スペースにできる
  • 設計力がつく

メリットとデメリットを比較して設計に合わせて使い分けれるといいですね!

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