吸着パッドを使った段ボール搬送システムを設計するときの注意点4選

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僕はメーカーの生産技術という立場で自社向けのロボットシステムの開発を行っています。

今回はロボットを使用した段ボールの搬送作業に取り組んだ経験から、吸着パッドを使用した際の注意点をまとめました。

以下の動画のように見ると簡単そうに見えますが、実際にすると意外と難しいんです。

安易に挑戦してトラブル続きだったのが僕です。

段ボールの搬送時の注意点は以下になります。

  • 真空圧
  • ミシン目
  • 段ボールのサイズ
  • 吸着パッドの種類

本記事の内容が皆様の自動化や技術向上にお役に会立てれば幸いです。

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目次

吸着パッドとは

吸着パッドはゴムパッドやスポンジパッドがついているものになります。

シュマルツさんやコンバムさんが有名ですね。

圧縮エアをそのまま入れるタイプや真空エジェクタを挟んで真空引きをするタイプがあります。

吸着オンオフの制御や真空破壊ができるものもあるのでメーカーさんに確認しましょう。

吸着パッドメーカー5社

僕が知っている吸着パッドメーカーはこの5社です。

上記はメーカーサイトのリンクになっているので気になるメーカーは確認してみてください。

実際にSMCさんとコンバム(旧妙等)さん、シュマルツさんは使ったことがあり、吸着ハンドを使う際はよく相談しています。

各メーカー、ラインナップが似ているようで違ったり、他社とは異なる特徴の製品を持っていたりするので吸着パッドを選定する際は何社かに相談することをお勧めします。

他におすすめのメーカーさんがあればぜひ教えてください!

段ボールの種類は意外と多い

段ボールの種類についても知っておきましょう。

段ボールにも実はいろいろな種類があります。

私自身、段ボールの搬送検証を行うようになって自分が思っていたよりも段ボールの種類がたくさんあったことに驚きました。

段ボールの基本構造は外面の紙と内面の紙があり、その間に波型の紙が挟んである3層構造です。

強度アップのために表面の紙の質や波型の紙の厚み波形状に変化をつけています。

波型がトラス構造となって段ボールのあの強度を実現しています。

例えば安い段ボールは再生紙を利用していることが多く、再生紙だと触って柔らかく感じるぐらいなので、搬送時は変形しやすいです。

さらに段ボールは通気性を持っていて、再生紙だと通気性がさらに良くなってしまうので、真空圧が低くくなります。

モノタロウ:段ボールと強度の選び方

吸着パッド選定と搬送時の注意点

吸着パッドの選定ではまずは搬送するワークの重量と使用できるエアの圧力を確認しましょう。

理論計算で吸着パッドの数やパッドサイズを求めることができます。

吸着パッドの選定はメーカーさんとしっかり話し合いながら進めましょう。

実ワークでの吸着試験も必須です。

では気を付けるポイントを見ていきましょう!

真空圧は段ボールによって違う

実は段ボールには通気性があります。

だから吸着パッドを正確に押し付けたとしても金属や樹脂よりも低い真空圧になります。

樹脂板で-80kPaほど出るパッドでも段ボールでは-30kPa~-40kPa程度しか出ないことも珍しくありません。

僕は吸着パッドメーカーさんに話を聞くまで段ボールに通気性があるなんて発想すらなかったです。

真空エジェクタなどを大きめのサイズの物を使うことでわずかですが圧を上げることもできます。

配管経路の圧損にも注意が必要です。

元圧の流量を十分に確保できれば、吸着力は確保できます。

吸着面にミシン目がある場合は注意

段ボールにミシン目がある場合は要注意です。

消費者目線だと段ボールにミシン目がついていると開けやすくて好きなんですけどね笑

検証では問題なくても実稼働して数を増やすとミシン目から破れるようなものもあります。

シュマルツさんが販売している三面吸着ハンドのようにサイドからのサポートが必要になる場合もあります。

上面だけの吸着に比べ側面でも吸着できる単純に吸着力が上がるだけではなく、搬送時に荷物が横揺れしなくなり安定するメリットもあります。

段ボールのサイズと横揺れ

基本的に段ボールの最大サイズを基準にして吸着パッドを選びます。

高さ方向の寸法にも注意しましょう。

高さ方向が長いものだと重心の位置がハンドから離れてしまいます。

するとロボットで搬送したときに大きく揺れることで段ボールが落下してしまうことがあります。

落下しないように搬送速度を遅くしてタクトタイムを満足できないようなことになりかねません。

高速で搬送するような場合、吸着パッド選定時に安全率を10~15など大きくとる必要があります。

吸着パッドの種類

ゴムパッドタイプとスポンジタイプがあります。

段ボールはゴムパッドのほうが安定します。ただし、表面に溝や段差があるようなものには使えません。

凹凸や段差があるものはスポンジタイプのほうが向いています。

スポンジタイプは角部分など一部がワークからはがれてしまうとその部分から真空が取れなくなってしまいハンド全面がはがれてしまう点は注意が必要です。

また段ボールの表面がへこんでしまっているもしくは膨らんでいるような不良品が混じっている場合も周囲が必要です。

まとめ

今回はロボットを使用した段ボールの搬送作業に取り組んだ経験から、吸着パッドを使用した際の注意点をまとめました。

吸着パッドの選定や搬送には以下の点に注意が必要です!

  • 真空圧
  • ミシン目
  • 段ボールのサイズ
  • 吸着パッドの種類

搬送の自動化は難しいものの、吸着パッドとロボットでパレタイズやデパレタイズの搬送できた時はうれしかったです!

ロボットシステムの開発は面白いですよね。

本記事の内容が皆様の自動化や技術向上にお役に会立てれば幸いです!ではまた!

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