ロボットシステムの開発で機械設計者はどんな仕事をするか解説

みなさん、こんにちは!

この記事ではロボットシステムを開発していた僕が実際にどんな流れでシステム開発を行っているのかを公開します。

機械設計でも分野や会社が違えば、全然自分と違うことをしているなと思うことはないですか?

ロボットシステムの開発は一般的な製品の機械設計とは異なります。

この記事はこんな方におすすめです!

  • ロボットシステムの設計に興味があるのでどんな仕事か知りたい
  • 同業の人がどんな風に仕事を進めているのか知りたい
  • 別分野の設計がどんなものか知りたい

特にロボットシステムの設計をしてみたい方や興味のある方は参考になるはず!

では見ていきましょう!

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目次

構想設計

まずは要求仕様を確認してどんな作業を自動化するのか確認します。

ここでどんな設備を入れるのかが決まります。

  • ロボットを何台使うか(ロボットでないといけないのか)
  • ワークに対してハンドは何を使うか
  • タクトタイムは満たせるか
  • 既存設備を使うのか
  • レイアウトは変更可能か
  • 予算はいくらか
  • 投資回収は何年か

設計に入る前に大まかにイメージを固めます。

ここで成り立たない場合はそもそもプロジェクトを進めるべきではありません。

場合によってはロボットを使わずとももっと安くてシンプルな方法で実現できるような場合もたくさんあるのでここが腕の見せ所です。

実際に使用するであろう作業者の話も直接聞いておきましょう

設備が完成してこんなのいらないなんて言われることもありえます。

電気設計者に情報を共有

仕様が詰まってきた段階で電気設計者にシステムの構成を伝えましょう。

どんな機器を使うのか、システムがどんな動きをしてどんな処理が必要なのか。

早め早めに伝えておいたほうが良い関係が築けますよ。

詳細に仕様を伝えずとも、勘と経験で制御や制御盤を設計されるベテラン電気屋さんもいますが。

どういったスケジュールで制御盤を発注してPLCのプログラムを作るのかといった調整も必要です。

特に最近は電気部品が長納期化しているので、慎重に早め早めに動きましょう。

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センサー選定

電気屋さんと話し合いながらセンサーの選定をしましょう。

僕はこの段階で性能重視で勝手にセンサー類を選定して後々、通信プロトコルや配線で電気屋さんを困らせてしまうことが多々あります。

使用するセンサーも会社や部署によって定番のようなものがあるので、慣れると自分で目星もつけれるようになります。

可能であれば仕様をしっかりと伝えた上で、電気屋さんに選定をお任せするのがいいですね。

電気屋さんが忙しくて自分で選定もできない場合、メーカーさんによっては相談すると選定をしてくれることもあります。

センサー類が決まったらそのままI/Oリストを作るか作ってもらいましょう。

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機械設計

機械設計者がメインになるのはその名の通りこの機械設計です。

仕様を満たすためのロボット架台やロボットハンド、センサーの取り付けブラケット、位置決め治具など多岐にわたります。

やることはどんな分野でも変わりませんね。

何を購入品で済まして、何を自社で設計するか検討します。

強度や公差などを計算して、3Dモデル作って、図面書いて、見積もりして、発注して、組み立て。

いろいろな手段を活用して品質を上げていきましょう!

僕は効率化のためにミスミさんをよく使っています。

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検証

ロボットのプログラムを作成したり、ティーチングをしたりしていよいよ検証です。

この辺りは各社さん担当が分かれています。

電気屋さんがしたり、ティーチング専門の担当者がいたり、機械屋さんがしたり。

僕はロボットはPCのシミュレーションソフトでプログラムを作って現場でティーチングもします。

僕の経験ですが、開発案件の検証ですんなりと行くことはほとんどないですね。

事故がなければOKとしています。

検証時の環境をいかにして現場環境に近づけるかこれが一番のポイントで、ここ次第で現場導入時に地獄を見るかどうかが決まります。

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改善

検証でわかった問題点を改善します。

会社によっては二次試作とかになります。

うちの場合は、基本一品物の設計になるのでそのまま改造したり、足りないものを買い足したりして検証を続けていきます。

ソフトで対応するのかハードで対応するのかも明確にしましょう。

無理にソフトで対応することはお勧めしません。後々面倒なことになったり、結局ハード変更が発生するパターンが多々あります。

改善を見越して組み立て性のよい装置作りを心掛けましょう。

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現場導入

検証で問題点をつぶしこんで、要求仕様を満たせることを確認したら現場導入です。

検証のやり方次第で現場導入の難易度が大きく変わってきます。

導入ではロボットを設置したり、安全柵を設置したりするのですが、業者に任せるか自分たちでするかは会社によりけりです。

うちは自社ですることが多いです。

電気工事はなぜか業者にしてもらいます。

現場合わせというのはどうしても発生してしまうのである程度の変更は想定しておきましょう。

現場導入がしやすくなるように現場の担当者や責任者への根回しは怠らないのがポイントです。

立ち上げ後のフォロー

どんなに仕様をつめても実際に使ってみるともっとこうしたい、このほうが使いやすいという要望が出てくるものです。

致命的な問題でないのであればなんでもやっていると正直キリがありません。

改善したらやっぱり元に戻せとかもあります。

実現可能かどうか、実現するにはどれだけの時間と費用が掛かるかそれらを天秤にかけて実施するかどうか決めましょう。

その案件ばかりしているわけではないので割り切りは必要です。

より詳しく知りたい方はロボットシステムインテグレータのスキル読本がおすすめ

「ロボットシステムインテグレーターのスキル読本」とはロボットシステムの開発や導入の経験が浅い人がロボットシステムインテグレータが具体的にどんな業務を行っているのか理解するために、ロボットを使用した機械システムの導入提案から設計、組立など一連のプロセスで関わる事柄について、必要な知識を体系的に説明を行ったガイドブックです。

以下のリンクからダウンロードできます!

ロボット活用ナビ

経済産業省と日本ロボット工業会が発行しています。

「はじめに」の部分でも記載がありますが、内容は実際にロボットシステムインテグレータとして業務を行っている企業のほか各分野の専門家などが分担で執筆したものです。

発行元もさることながらそれぞれの専門家が記載しているだけあってその内容の信頼度は高いです。

ロボットシステムインテグレータのスキル読本は導入用のためのガイドブックなので、各分野のより専門的かつ高度な内容に関しては、専門書などを参考にするようにとの記載もあります。

巻末に参考文献などの記載もあるので気になった部分は専門書で勉強しましょう。

ページ数はPDFで90ページとなります。

文字数は結構あり、ページ数よりもかなりボリュームのある内容になっています。

文字が小さいので読みにくい場合は拡大しましょう。スマホでは読みにくいです。

無料でロボットSIer全体像を学べる

目次を確認していただければすぐわかりますが、分野別に以下の内容が解説されています。

  • プロジェクトの進め方や顧客との仕様すり合わせ
  • 生産技術論
  • 安全の考え方
  • 品質保証
  • 機械設計
  • 電気設計
  • ロボット制御
  • 画像処理
  • システム制御
  • 電気配線
  • 装置組み立て
  • アフターサービス

顧客の要求からの構想設計という上位工程からアフターサービスのような下流工程までまんべんなく網羅した内容になっています。

「機械設計とは」とか「センサとは」なんていう基礎的な説明から設計時の注意点や不具合対策などの具体的な設計情報の解説まであり、入門書よりも実務寄りの内容です。

図も適度に挿入されています。

あくまでイメージを手助けする程度で図解を押しているような入門書ほどではないです。

技術的に言うと機械、電気、ソフトなどすべての分野がそろっているので、自分の専門とする分野以外のページが結構勉強になります。

僕の場合ですが、最初はわからなくても読み返してみたり、設計を経験していく中でそういうことなのかと理解するような場面もありました。

個人的にはこのレベルの内容が無料で公開されているのは結構すごいことだなと思っています。

国としてもロボットシステムインテグレータ不足の現状とこれからも力を入れてこうとしていることが伝わってきます。

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まとめ

今回はロボットシステムの設計において機械設計者がどのような仕事をしているのかという点を解説しました。

この記事を読んでなんとなくでも仕事のイメージを持っていただけたら嬉しいです。

大変なことや多少腹の立つこともありますが、ロボットが自分の思い描いたように動いたときはとても達成感を感じられるいい仕事だと思っています。

これからも伸びていく分野なので興味のある方はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

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