【入門】ロボット架台の設計時に失敗しないために注意するポイント4選

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皆さん、こんにちは!

今回はロボット架台の設計するポイントについて記事を作成しました!

ロボット架台の設計って一般的な架台に比べて色々考えることがありますよね。

僕も実際に垂直多関節ロボットの架台をいくつか設計してきましたが、悩んだこともあったのでこの記事にはその経験を盛り込んでいます。

今回のポイントは以下の4点になります。

  • 水平方向の荷重
  • アンカー部にかかる荷重(モーメント)
  • 繰り返し荷重
  • 周囲環境

特に衝撃荷重や水平方向の荷重が厄介ですよね。

強度や剛性が足りないとロボットの動きでかなり揺れたり、非常停止を押したときにロボット自体が震えてヒヤッとします。

では詳しく見ていきましょう!

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目次

なぜロボット架台が必要か

引用元:ミスミ公式サイト

ロボット架台と言われてイメージつきますか?

その名の通りロボットを載せる架台のことです。

なぜロボットに架台が必要になるのかというと高さを出すためです。

産業ロボットってアーム型をしていますよね。

これは人でいうと上半身に当たります。

上半身だけで届く範囲って狭いですよね。

また床に固定してしまうと下側の動作範囲を殺してしまうことになります。

ロボットの動作範囲が半分になってしまうので非常にもったいないです。

そこで架台を用意し、ロボットを載せることでロボットの動作範囲をすべて生かすことができます。

ちなみに軽量タイプのロボット架台はミスミさんとかでも売ってたりします。

ポイント①水平方向にかかる力

荷重

一般的にイメージする架台とロボット架台の大きな違いの1つに水平方向にかかる力の有無という点があります。

一般的な何かを置く架台であれば日常生活の中でも目にしますよね。基本的に考えるのは重力方向の荷重です。

架台に使用するような鋼材やアルミのような材料は圧縮方向の荷重に強いのであまり重量は心配する必要はありません。

ロボットの場合は上下左右と3次元的に動くので重力方向だけでなく水平方向の力も架台にかかります。さらに非常停止の場合は衝撃荷重になります。

ロボットの仕様書に水平方向や垂直方向の荷重、モーメントの大きさの記載があるはずなので確認し設計をしましょう。

ロボット架台は足はアンカーなどで固定しますがの天板側はフリーになっているので片持ちはりのような構造です。

可搬重量の大きいタイプのロボットは構造的に補強するためにトラス構造やラーメン構造にして強度を上げているのをよく目にします。

ポイント②アンカー部にかかる力

水平方向の力に関連するのですが、その影響でロボットの架台は根本のアンカーブラケット部分に応力が集中する傾向があります。

特にロボット架台の背が高いような場合は要注意です。

アンカーは十分に強度のある材質や形状の物を使用しましょう。

アンカーボルトのネジサイズにも気をつけましょう。

推奨のネジサイズや強度区分はメーカーの取付要領書に記載がありますが、架台のサイズなどに合わせて変更しましょう。

コンクリートなどの地面でも水に濡れたり、薬品がかかったりする場所ではアンカーもステンレス製のものを使用したりケミカルアンカーを使用したりしましょう。

ポイント③繰り返し荷重

マテハンロボット

溶接やハンドリング用など種類はありますが、ロボットは同じような動作を何度も繰り返すようにプログラムされます。

当然、架台にも繰り返し荷重がかかることになります。

繰り返し荷重に対する考え方は様々ですが、社内規定などで決まっているのであればそれに沿って安全率を見ておきましょう。

過去に実績があるのであれば過去の架台を参考にするのもいいと思います。

ただしロボットの動作範囲や速度に差がある場合はそのまま真似するのは危険です。

架台にネジ留め箇所があるのなら締結部の緩みには注意しましょう。

立ち上げ時には正常に動作していても時間経過でネジの緩むと動作が不安定になることが想定されます。

さらに最悪の場合は事故に繋がり兼ねません。

鋼材を溶接で組み上げるのが無難ですが、ネジ部にロックタイトなどの緩み留め材を塗布するような対策もあります。

ポイント④周囲環境

工場画像

導入場所の周囲環境は完全な屋内なのかシャッターなどの近くで雨や湿度の影響があるのかを確認しておきましょう。

環境によって材質を選んだり、表面処理や塗装の有無が変わってきます。

既存の施設に導入する場合は架台のサイズが導入環境によって決まってしまうこともあります。

定期的に修繕やメンテナンスが可能なのかも確認しておきましょう。

市販品のロボット架台

ロボット架台は購入品もあります。

ミスミさんでも各種メーカーに合わせたロボット架台を扱っています。

ミスミ公式サイト:ロボット架台

ロボットのサイズや架台の高さに制限があるのでカスタム性はあまり高くありませんが、要求を満たせるのであれば重宝します。

まとめ

架台設計時の以下のポイントを紹介しました。

  • 水平方向の荷重
  • アンカー部にかかる荷重(モーメント)
  • 繰り返し荷重
  • 周囲環境

個人的にはロボット架台はロボットの土台となるもので安全面にも大きく関わる部材なので、多少コストがかかってもしっかりと強度を担保した構造の課題を設計すべきだと思っています。

多少オーバースペックになるは仕方ないと割り切っています。

何かいいアイデアなどが思いついたら更新していきます!

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